Behind Her Eyes / 瞳の奥に

Behind Her Eyes | Netflix Official Site

シングルマザーと精神科医、そして彼の少しおかしな妻の、世にも奇妙な三角関係。

シングルマザーのルイーズは、友達に予定をすっぽかされ一人で入ったバーでデイヴィッドという魅力的な男性と出会い、意気投合する。彼との出会いに浮かれるルイーズだったが、なんと彼は職場の新しい上司で、しかも既婚者だった。気持ちを諦めようとするも、ずるずると不倫関係に陥っていく二人。そのうえルイーズはデイヴィッドの妻アデルとも友人関係になってしまい、さらに関係がこじれていく。

原作の小説が発売された際、その衝撃的なエンディングから、 Twitterで #WTFthatending (なにあのエンディング!?)というハッシュタグとともにトレンド入りした作品の実写化ミニドラマシリーズです。作者自身も“マーマイト本(※)”と称するほど好き嫌いが分かれる作品で、またもや #WTFthatendingというハッシュタグとともに評判になっています。

※マーマイトはイギリスのちょっと変わった発酵食品。その味が好き嫌いハッキリわかれることから、好き嫌いが分かれる物事について表す言葉としても使われます。マーマイトのスローガンも同様の意味の「Love It Or Hate It」なのもなんかオシャレですよね。ちなみに私も食べたことありますが、食べられるけどあんまりおいしくないな…って感じだった記憶だけはあります。またトライしてみたいなぁ。

 

感想

最初はただの不倫モノなのかなと思って見始めていたのに、物語がどんどん奇妙にねじれていき、気づいたころには3人の関係の決着が気になってイッキ見してしまうこと必至。2~3日で見終えてしまいました。作者曰く「ヒントは作中にちゃんと隠されている」ということなのですが、正直私は「いやこんなオチ読めないわ!」と苦笑するしかなかったです。このオチを読める人はいるんでしょうか? 相当細部まで注意深く見ている人だと思います。

最終話を観たときにはなんともいえないイヤ~な気持ちに包まれ、しかしさらに真実が明かされたあとには、敵(?)ながらあっぱれという謎の満足感でいっぱいでした。1話60分未満で6話完結とサクっとみられる作品なので、一風変わったドラマが見たい!というひとにはぜひオススメです。観終わった後、誰かと語りたくなること間違いなし。私も誰かと話したいので、みんな観てください。マジで。

 

ちなみに作者はそんなオチについてUKNetflixのYouTubeチャンネルで、

「エンディングが大嫌いだって人もいれば、大好きな人もいるのは分かってる。でも『エンディングを(考えられなくて)途中で投げ出してる』って言われるのはムカつく。実際には、私はちゃんと最初からオチまで考えて作ったのに。嫌いな人がいるのは構わないけど、『あんな終わり方なんて予測できるわけない』って言われると、『ちゃんと読み返してみてよ。ヒントはすべて作中にあるから』って言いたくなる」

とコメントしてます。まさに私はその「こんなオチ読めるか!!」の一人でした。ごめんなさい。

主要キャラを演じたルイーズ役のシモーナ・ブラウンやロブ役のリチャード・アラマヨなども素晴らしかったのですが、特にイヴ・ヒューソンは(原作は未読なんですが)少し陰のある妖艶な女性であるアデル役にぴったりだったなと思いました。彼女にまつわる謎が軸になっていく作品なので、彼女に説得力がないと物語の没入感も半減していたと思います。

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しかもイヴ・ヒューソン、あのアイルランドの有名ロックバンドU2のフロントマン、ボノの娘さんだと知ってビックリ。あまり娘さんたちのニュースを聞いたことないなと思ったんですが、彼女の母親はイヴ達がいわゆる「普通の生活」を送れるようにかなり努力していたようです。イヴ自身も、パパラッチがいるロンドンやLAなどで育つより、名声に興味のない人が多いアイルランドで育ててラッキーだったと語っています。

個人的にあまり見たことのない俳優さんばかりだったのも、物語に入り込みやすかった理由の一つだと思いました。観たことある俳優だとやっぱり「あ、これ××の人だ!」って意識が邪魔するので。

 

余談:スコットランドアクセント

スコットランド人の「デイヴィッド」と「ロブ」を演じているトム・ベイトマンとロバート・アラマヨは、どちらもイングランド出身の俳優。スコットランドアクセントは2人のナチュラルなアクセントではありません。私は2人もガチでスコットランドの俳優だと思ってたので、実際は違うと知ってめちゃくちゃ驚きました。

スコットランドの人からは特にトムのアクセントは「ひどい」と一部で酷評されているようです(褒めている人もいますよ!)。スコットランド出身の俳優もたくさんいるのに、なぜわざわざイングランドの俳優を使うのか?という点も問題になっているみたいですね。

 

以下、追記で 瞳の奥にネタバレ感想
※ネタバレを含みます!まだ観てない人・原作を読んでないけど読みたい人などは見ないでください!

 

 

デイヴィッドが不憫すぎる

まず思ったのが…デイヴィット可哀そうすぎませんか? 自分の愛する人がどこの馬の骨かもわからないヤツに乗っ取られてしまったんですよ。2回も。やっと過去から解き放たれてルイーズと新しい生活が出来る!と思ってるのに、その中身は自分が憎んでいたアデル(ロブ)のままだなんて…。

そんでロブどんだけデイヴィッドのこと好きなんだよ!私は鈍感なので、初めてロブがデイヴィッドと出会ったときのなんともいえないモジモジしている感じを、単純に「あー自分の愛するアデルの恋人がいい人でちょっとバツが悪くなってるんだな」くらいに思ってました。見事に作者の思い通りの感想を抱いていたわけです。でもそれが、恋に落ちてるときの様子だったなんて! 確かにそういわれてもしっくりきます。

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ヘロイン中毒について

アデルがヘロイン中毒だったのも、中身がロブだったからなんですね。私は詳しいことは知らないんですが、ドラッグのなかでもヘロインとかは精神的依存というより肉体的依存のほうが大きいと思っていた(いる)ので、果たして肉体が変わっても依存してしまうものなのかな?という疑問が残ります。でもアデルの肉体を手に入れてからまたヘロインに手を出せば中毒に逆戻りしてしまっただけかもしれないですね。

足の指の間に針を刺すのは頭がいいなぁと思いました。そうすればデイヴィッドに注射の跡を見られないで済みますもんね。
よいこのみんな、ヘロインにだけは絶対に手を出しちゃダメだよ!マジで人生狂うよ!

トレインスポッティングの主人公たちもヘロイン中毒でしたが、スコットランドは「薬物死の首都」とまで呼ばれているようです。そういった背景からか、ロブのキャラクターは、「スコットランドステレオタイプ化している」と一部で批判も起きています。

続編を作るなら

ルイーズの息子は異変に気付いているようだったので、続編を作るとしたら大人に成った彼が真実を暴いていく、みたいな感じにすれば出来るのかなと思いました。もしもアデル(ルイーズ)が生きていて刑務所などに入っていたとしたら、こっそり彼女とコンタクトを取って2人で協力してロブに仕返しする、みたいな展開も作れそうですよね。もしくはデイヴィッドが気づいて息子と協力するとか…?でもホラーの定番でいくとデイヴィッドはそれに気づけないちょっとオバカな役回りになりそうな気がします。ラストもめちゃくちゃ能天気でしたし。

あとここらへん私の中で曖昧なのですが、ルイーズ(アデルの肉体)はオーバードーズで死んでしまったのでしょうか? それとも、いきなり多量に摂取したせいで意識を失っていただけ? 最期にロブが書いていた手紙では「罪は認めるけどその先は耐えられない」と言っていましたが、その先とは世間からの批判のことなのか、刑務所などで罪を償うことなのかどちらにも取れますよね。

 

参考文献

www.youtube.com

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