Netflix / The Circle (US ver)

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海外の大手レビューサイトRotten Tomatoesでも81%という高評価を得ている、Netflixリアリティ番組「The Cricle」アメリカ編がめちゃくちゃ面白かったです。もともとイギリスのテレビ番組だったようで、Netflixにはあとフランス、ブラジル編なんかもあるみたい。

 

The Circleとは?

勝ち残り形式の人気投票で1位になった人が賞金1,000万円を獲得する番組で、8名の参加者が毎日自分以外の7人をランク付けしていき、その投票結果に応じて1名を追放。その後新メンバーを追加を繰り返して、最終日の投票で1位だった人が優勝する形式です。20年近く前の番組にはなりますが、日本版も放送されていた「サバイバー」というリアリティ番組の現代版って感じ。

参加者は濃い~キャラの人が多くって観ていて楽しいし、「推し」の参加者が出来ると追放されないか一緒にハラハラドキドキ出来ます!海外の番組らしくナレーションがウィットに富んでるのもイイ!

参加者たちは直接会うことが出来ず、許されているのはThe CircleというSNS上で会話のみ。そのため「SNS上で人気になれそうな誰か」になりすましている参加者もおり、S1では彼女の写真を使って「清純派」女性になりきる彼氏(のちに女性同士と生理の会話をすることになって焦るシーンは必見)なんかもいます。逆にモデルをしている女性なんかは、その彼女の肩書や見た目から「catfish(なりすまし)」認定を受けてしまったり。そこらへんは現実のSNSと一緒ですね。

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毎回1位と2位になった人が「インフルエンサー」となり、2人で相談して追放する人を決定するので、追放されるのは「単純に人気がない人」だけではなく、「脅威となりうる(人気がある)」人のことも。そのため皆追放されないために、参加者たちはほかのメンバーと同盟を組んでみたりと試行錯誤するのも面白いポイントです。

 

S1とS2

特にS1のメンバーは終盤にかけて「絆」みたいなものが出来ていて、本当の友達のような関係性が見ていて心地よかったです。最終回の鑑賞後は、リアリティ番組なのに心がじーんと温かくなりました。

逆にS2は人間関係がドロドロしすぎていて、誰が誰を裏切って…という展開が続くので観ていてちょっとイヤな気持ちになることも多かったのが正直なところです。そういうドラマが巻き起こったほうが番組としてはいいのかもしれないんですが、S1が心温まる終わりかっただけにそのギャップが大きくて…気に入りの参加者がいたのでなんとか見られましたが、最終回もS1ほどは良かったなと思えず、参加者1人1人への思い入れも少なかったです。

 

推しメン

ちなみに私はS1ではジョーイとレベッカ推しでした。
特にジョーイは最初は「女好きのオラオラ系」な感じで苦手だったのですが、見進めていくうちに「裏表のなさ」と「家族や仲間思い」なところに惹かれ、途中から彼に優勝してほしいなあと思うほどに。レベッカ(akaシーバーン)はもう最初からキャラが良すぎて、先述したように生理トークでテンパる姿とかかわいくって。ジョーイかレベッカに優勝して欲しいなあと思いながら観てました。

でもS1があんなに心温まるシーズンになったのはシュバムがいたからな気もする。S1の参加者はInstagram見る感じその後も会ったりしてるみたいなのがさらにイイ~~

S2の推しは断然クロエです!まあ私がイギリス贔屓なのもあるとは思うんですが笑、でも天真爛漫でテンション高い彼女がいたからこそドロドロしていたS2を最後まで観ることができました。あとはトレバー(デリーサ)も戦略的に立ち回りつつも、イヤな感じはしなくて好きな参加者の1人でした。なのでS2はトレバーかクロエが勝たないと絶対イヤでした。名前はあげませんが最終メンバーで絶対に勝ってほしくない人が1人いて、その人が勝っていたら怒り狂ってたと思う笑

あとはブライアント…めちゃくちゃいい人そうだし、単純に顔がタイプw

 

私のオススメは断然S1です。だまされたと思ってぜひみてみてください~!

TEEN SPIRIT / ティーン・スピリット

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※めちゃくちゃけなしてるので好きな人は読まないでください。

 

 

物語のあらすじに肉付けしないでそのまま映像化したような映画だった。別に映画見なくても、ティーンの女の子が田舎から全国区のオーディション番組に出て優勝する話」で終わる。それ以上でも以下でもない映画は何本でもあるが、これほどまでに中身が薄っぺらいものも初めて観た。一応映画だから90分くらいあるけど、正味5分…いや3分あれば片付く話。いま話題のファスト映画でも尺に困るレベル。

なによりいちばん重要な、「歌唱力」を(申し訳ないが)エル・ファニングが持ち合わせておらず、「いわゆるカラオケでは持て囃されるかもしれないけどプロとかそういうんじゃない」レベル。なので彼女がオーディションを勝ち上がっていくのも、「まあ物語の展開的にはそうなりますよね」と言った感じで、全く彼女のファンになれない。

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一応母子家庭で、とか、コーチとしてサポートしてくれるひとも複雑な事情があって、とかの「設定」はあるけどそれを掘り下げるわけではないので、別に感情移入も出来ない。すごくイヤな言い方をすればあなたが「エル・ファニングのアイドル映画」として楽しめるならば、そんなに悪い映画じゃないのかもしれない。

一応「話が薄い」とは指摘しつつ最後のパフォーマンスは良かったって声もあるんだけど、いや最後のパフォーマンスも酷かったですよ。まっっっったく響いてこなかった。

エル・ファニングのファンからは怒られそうですが、というか私も彼女のことは好きですが、「ネオン・デーモン」同様、エルちゃんが圧倒的スター!みたいな役をやるのは違和感しかない。いやもちろんハリウッドで大成功してる役者な時点でエル・ファニング本人が圧倒的なスターであることは間違いないですが、役者として彼女がそういう役に合ってるか?と言われると私としては疑問しか感じないので…

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今作の監督で、現在はエルちゃんの彼氏でもあるマックス・ミンゲラは「この役ができたのは彼女だけ、歌えて踊れてポーランド語が喋れてブリティッシュアクセントができて…(略)たくさんのことが求められる役だった」とか語ってますが正直言ってそれはあんたが惚れたからじゃないんですか…と思ってしまったよね。

一応この映画のいいところを挙げるとすれば、私の大好きなRizzle KicksのJordanが出てたこと!あんた役者してたんかい!エルちゃんの代わりに歌ってくれー!そしてアルバム出してくれー!笑

Rizzle Kicks、4年前に曲だしたっきりなんですよねえ…

Promising Young Woman / プロミシング・ヤング・ウーマン

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29歳、医学部中退、カフェ勤務のキャシーは、過去の "ある出来事" が忘れられず、自分の人生もそっちのけでクズ男たちへの制裁に燃える日々を過ごしていた。しかし、大学時代の元クラスメイトとの偶然の再会によって、彼女の運命が大きく狂いだす――

事前情報をほぼ入れず言ったので、話がどこに進むのか全く分からず、最後まで心をかき乱されたまま終わってしまった、という感じでした。コメディあり、ロマンスあり、スリラーありで、正直ラストの展開も笑えるんだけど、同時にものすごく悲しくて切ないという不思議な感覚に包まれながら劇場をあとにしました。

正直「好き」とも「嫌い」とも言いにくいのはラストの展開のせいかな、と思います。ここをどう受け取るかで賛否が決まりそう。私の感想はネタバレありで追記に書きたいと思います。

 

フィクションじゃない、私たちの日常

主人公のキャシーは、「毎晩バーに出かけ、泥酔した(ふりをした)自分に近寄ってくる自称『いい人』な男たちにわざとお持ち帰りされ、意識もほとんど無い(ふりをした)自分と性交渉をしようとする男性たちに制裁を加える」ことで、過去のトラウマを乗り越えようとしている。

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本作の軸となる「合意のない性交渉」がどれだけ日常的に発生しているか、そしてその告発がいかに難しいことなのかは、女性ならば痛いほどわかるはず。おそらく男性側は、レイプとすら認識していないこともほとんどではないか。しかし恐ろしいのは、その被害にあったことのある人ですら、「あの人がそんなことをするはずない」と、加害者側に回ることだって珍しくないということ。本作は、そんな私たちに痛いくらいに現実を突きつけてくる。(もちろん被害者加害者の性別が固定ではないことは分かったうえで、本作で扱っているものが男性→女性であることから、その前提で話を進めます。)

タイトルの "Promising Young Women(前途有望な若い女性)" はおそらく、レイプ加害者の男性をかばうために使われる ”Promising Young Men(前途有望な若い男性)" という言葉への皮肉だろう。一体いままで、何人の ”前途有望な女性” たちの心と体が、 ”前途有望な若い男性” たちの「輝かしい未来」のために殺されてきたのだろう? しかも悲しいかな、Victim Shamingなどの加害者を守り被害者を非難する立場を、女性がとることも珍しくない。どれだけ声をあげ立ち上がっても、結局は彼らを守り被害者を叩く社会では虚しく響くだけ。

主人公のキャシーは、そんな加害者たち、そしてそれを見て見ぬ振りした「傍観者」たちに次々に復讐していく。しかしこれにカタルシスを得て「スッキリ」とは言えない作りになっているのは、この映画の内容が私たちの「現実」であり、そして私たちの生きる現実には、カタルシスが訪れることなどほぼないからだろう。

 

キャストについて

豪華キャストたちが脇役で登場することにびっくり。アダム・ブロディにはじまり、クリストファー・ミンツ=プラッセ、そして私の好きなマックス・グリーンフィールドまで…!OPで彼の名前出てるのをみて出演を知り、本編中ずっと登場を心待ちにしていたのですが、思ったより出演時間が少なく、そしてめちゃくちゃダサいクズ男だったのでちょっと複雑な気持ちになった...(ドラマ『ヴェロニカ・マーズ』でめちゃくちゃいい役で、そこで惚れただけに)でも短い出演時間でも強烈な印象を残すクソ男だったけど笑

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あまりクズ野郎役のイメージがないキャストはあえてだったようで、監督のエメラルド・フェネルは、「ヤなやつだと思ってる人が最悪なことをしていれば責めるのは簡単だけど、自分が好きで尊敬している人が相手の場合はそれが困難になるから」だと語っていました。「この人のことが好きだから、こんなひどいことをしたなんて本当に残念…でも好き!」「この人のことが好きだから信じない」となるだろうと。( Emerald Fennell on casting sweet men in Promising Young Woman | EW.com )

正直自分も、好きな俳優やアーティストに対しては同様の反応を取ってしまっているのでめちゃくちゃ耳が痛いです。

そのほか、『オレンジ・イズ・ニューブラック』のラヴァーン・コックスは本作でも最高オブ最高でしたし、ボー・バーナムはスタンダップコメディのイメージだったので(あと監督作の『エイス・グレード』も良かったですね…)俳優も出来るんだ!と驚きでした。言わずもがなですが、キャリー・マリガンの演技は素晴らしかったです。あとどんな服も着こなすのでついついそっちも目で追ってしまいました…

 

パリス・ヒルトンとブリトニー

この映画を観て印象に残るのは、Paris Hilton - Stars are BlindとBritney Spears - Toxicのオーケストラバージョン。どちらの曲もキャシーと同年代であれば絶対に(というのは言い過ぎだろうけど)知っているであろう2曲で、それらがこの映画の「色」とも言えるくらい、強烈に記憶に刻まれる使い方をされています。

パリスは過去にセックステープの流出に苦しみ、最近では自身のドキュメンタリー『This is Paris』で過去の虐待経験を告白。ブリトニーは現在進行形で、父親からの過度な精神的・肉体的・経済的な管理から解放されるために戦っている最中(知らない方は#Free Britney で検索してみてください)。単純に監督はパリスとブリトニーのファンであるということもあるみたいだけれど、それらの背景を考えると2人の曲が使われているのも必然という気がする。

 

と、いうわけで『プロミシング・ヤング・ウーマン』は、確実に今見るべき映画の1つだと思います。好き嫌いは置いておいても、この映画を観て「何も感じない」人はいないはず。

 

以下、ネタバレありの感想です。

※特にラストについて触れるので、まだ未鑑賞の方は自己責任でどうぞ。

 

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